千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
旧館の「千の天使がバスケットボールする」http://blog.goo.ne.jp/konstanze/

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2013.12.15 Sunday

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2007.04.01 Sunday

『グッドナイト&グッドラック 』

【「あるある大事典」の納豆ダイエットで捏造 関西テレビ】

フジテレビ系の生活情報番組「発掘!あるある大事典2」で、納豆のダイエット効果を紹介した7日放送分にデータ捏造(ねつぞう)などの問題が判明し、制作した関西テレビ(大阪市)が20日、発表した。番組では、納豆を食べた被験者の中性脂肪値が正常値になったとコメントし、字幕で数字をつけて紹介。だが実際には測定しておらず、他の実験でも測定や検査をしないまま、架空の数字を番組で流していた。会見した千草宗一郎社長は「放送局としての信頼を著しく損ない、視聴者の信頼を裏切ることになり、誠に申し訳ない」と謝罪した。
(07年1月21日朝日新聞)

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宇澤弘文という長い間ノーベル賞候補者だった経済学者がいる。宇澤氏がスタンフォード大学院経済学部研究員として渡米した1956年から60年に教授になるまでの滞在中、ある日突然学内で教授が逮捕されて連れて行かれるという場面に何度か遭遇したそうだ。所謂”赤狩り”によって優秀だった学者が、何人も消えていったという。そういう”時代”だったのではない。そういう”国”だったのだ。アメリカは、決して「自由と民主主義の国」ではなかった。

1953年から「上院政府活動委員会常設小委員会」の委員長だった共和党のジョセフ・マッカーシー上院議員は、共産主義の追放目的のために共産主義者やそのシンパシーを逮捕、公職追放する運動をすすめた。当初は国民の指示をえたマッカーシーだったが、やがて赤狩りの手が、ハリウッドやマスコミまでに及び、強引な手法をもちいた恐怖政治がマッカーシー旋風として吹き荒れるようになった。数千人の人々が地位や職を奪われ、保身のために友人や家族まで密告する者がでた。1999年のアカデミー賞授賞式で、多くの優れた作品を生んだエリア・カザンが特別賞を受賞した時にも、彼の転向と共産主義の仲間を売った過去に対し、遺恨を残す映画人からの拍手はなかったことは、記憶に新しい。

そんな難を逃れようと多くの報道人が沈黙している時代に、政府の圧力や会社の意向に屈することなく、マッカーシー議員の虚偽と陰謀を暴いたジャーナリストがいた。初回の放送をおえた彼らには、更なる政府による圧力や彼らを陥れる罠が待っていた。しかし、ジャーナリストとして彼らの信念がゆらぐことはなかった。テレビの報道番組として最後まで指名果たした本物のジャーナリストだった彼らは、CBSドキュメンタリー番組「See It Now」の名物キャスターのエド・マロー(デヴィット・ストラザーン)と番組のプロデューサーのフレッド・フレンドリー(ジョージ・クルーニー)、そして彼らを支えた仲間だった。

映画の冒頭はパーティに集う人々の場面からはじまる。蝶ネクタイ、真っ赤な口紅と輝くブロンドの髪。ドレスの肩に浮いたしみとおしゃべり・・・。煙草の煙とジャズがただよう全編モノトーンの映像は、そのまま当時の時代風景を忠実に再現している。まるで50年前にタイムスリップしたかのような錯覚に陥る映像に、実際のマッカーシー議員と公聴会のドキュメンタリーが入り、映画全体が良質の報道番組を観ているような充実感がある。
自分の主義を声高に訴えるのではなく、あくまでも簡潔に、しかし次々と果敢に真実を告発していくエド・マローの弁舌に、圧倒される。そこには、事実を報道する強い姿勢がある。アメリカは、自由の国を標榜しながらも矛盾に満ちている。しかし、理想の国をめざして物語を編む途中の国でもあるのがアメリカだ。プレッシャーや中傷に耐えられず自殺してしまうジャーナリストの姿もおき、彼らのおかれた厳しさと孤独を表現しつつ、その一方で禁止されていた社内結婚をしていた同僚の存在に気が付かないふりをする連帯感、という失われたよき時代の報道人の姿もかいま見える。
監督でもあり、エド・マローと同時代にニュースキャスターとして活躍した父をもち、大学でもジャーナリズムを専攻したジョージ・クルーニーの、体重を増やした体に大きめの真っ白なYシャツを着こみ、眼鏡姿の好演がいぶし銀のように光る。彼自身の父への贈り物ともいうべき映画という側面もあるかと想像するのだが、、これまでビバリー・ヒルズの歯医者の役というイメージしかなかった彼の意外な反骨精神が、テレビへの在り方を問題定義した作品とも言える。

フジテレビ放映「あるある大辞典」での捏造番組に対する視聴者からの非難轟々はうるさいくらいだ。
所詮、単純な娯楽番組のもっともらしい科学データーを本気で信じていた視聴者がいた、ということの方が私には驚きだった。視聴率至上主義のテレビ界の現状は、なんの科学も理解していないのに、エイジレス研究家とのたまってしまう評論家と同じであるのに。やがて世論は、CBS番組とマローを支持していく。けれども視聴率がクイズ番組や娯楽番組におされて、彼らの良質な番組はゴールデンタイムからはずされて片隅においやられていく。おもしろくなければ、テレビではないのだ。

この映画は過去の真実と報道する姿勢を描いた硬派のドキュメンタリー映画というだけではなく、監督自身がその知名度を高めて今日の地位を築いたテレビにおいて、今のメディアの在り方や価値、モラル、実は重いテーマーを投げかけているのである。しかし、どうでもよい娯楽番組で飼いならされている日本人が、どこまでそれらの原点の問いを受け止められるのだろうか。
エド・マローをたたえる58年のパーティの場面での最後のスピーチで、彼は次のように語っている。この言葉をエド・マローたちが生きた時代から半世紀たった今のテレビ業界と現代人への痛烈な皮肉に聞こえたのは私だけであろうか。

「50年後に人々がテレビの1週間分を観たら、今の世にはびこる退廃と現実逃避と隔絶を感じるでしょう。
テレビは人を欺き、笑わせ、現実を隠していると。」

2013.12.15 Sunday

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21:11 | - | - | -

コメント

「あるある」より酷い捏造報道を、TBSが今必死になって隠蔽しようとしています。
TBSの不二家に対する捏造報道をぜひ知ってください。
不二家の不祥事は厳しく批判されて当然です。
しかし、やってないことまででっちあげられ「廃業してもらいたい」とまで言われたのでは、不二家の従業員とその家族があまりにかわいそうです。
お願いします。
2007/04/02 10:19 AM by あ

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責任て言葉は死語か?
ぶらりせいちゃん歩いてみると・・・???なんで、そうなるの?(コント55号の古いギャグって・・古すぎてわかんないか)(^^;関西テレビ(大阪市)の千草宗一郎社長(63)が捏造問題の責任を取って3日付で辞任。4日付で後任の新社長に片岡正志常務(62)が就任
(ぶらりせいちゃんの社会ななめ読み日記 2007/04/05 1:12 AM)
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(- 2007/05/11 4:04 AM)

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