千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2008.05.26 Monday

小林美恵&荘村清志デュオ「舞曲」〜ラ・フォリアからピアソラへ〜

ぶきっかけは、たった1回の共演。
昨年、ピアソラの一曲だけを小林美恵さんと演奏したギターリストの荘村清志さんは、背筋を正されたような衝撃を受けたそうだ。
「この人と演奏していると自分が高められる」
そんな思いで実現した、ちょっと大人向けの粋なヴァイオリンとギターのデュオ・リサイタルの「舞曲」。

荘村清志さんの還暦記念コンサートのための催しなんだが、楽器の性格上、ギターは伴奏役。同じような弦を張っている楽器なのだが、ヴァイオリンが楽器の女王さまのように華麗で表情豊かに歌うのにあわせて、ギターはあくまでもそんなヴァイオリン姫にやわらかくあたたかく、時々情熱をこめて寄り添っていく。しかも、曲はコレルリの「ラ・フォリア」にはじまり、ピアソラの「タンゴの歴史」に至るまで、舞曲、舞、ダンス。


舞曲1900年にロン・ティボー国際コンクール(ヴァイオリン部門)に日本人として初めて優勝して脚光を浴びた小林美恵さんは、その輝かしい受賞歴ながらも比較的地道に演奏活動を積んできたベテラン。「秘めたる情熱」とは、この方にふさわしい。一見、色白で華奢な小林さんは、小学校のセンセイのような真面目で誠実な印象である。その印象どおり真面目で誠実な音楽なのだけれど、芯の強さとしなやかさ、そして情熱を感じさせられたのが今日の演奏。
私のとても好きな曲「ラ・フォリア」では、古典の枠をこえ、映画の『レッド・ヴァイオリン』の最初の場面を思い出させるような、憂いの中にも狂詩曲の情念が漂い、これまでの小林美恵さんのセンセイのイメージを打ち破られた。
ラヴェルの「ハバネラ」は、フランス風の洒落た雰囲気と遊びこころを漂わせながら、きっちりと仕上げる点が、実力者らしい。ハンガリー舞曲は、ギル・シャハム以上の演奏は存在しないので感想は控えるが、バルトークの「ルーマニア民族舞曲」まで、荘村清志さんとの息はぴったりである。
余談ながら、朝日ホールの舞台脇の壁に、おふたりの姿が反射してぼんやりと映っていて、なかなか興が深い。
ファリャの「はかない人生」は、意外にも、と言ってたら失礼だろうか、そこはかとなく色気のある演奏で、この日一番のできだったと感じた。
後半は、権代敦彦さんの委嘱作品(初演)「Mae Nam Khong」水之母である。
メコン川のことらしいのだが、壮大なスケール感もあり、抽象的で哲学的ながら複雑な水の音や泡、流れを感じる曲である。
ところで、ロビーでひときわめだった年齢不詳の小柄な不思議な男性がいた。体の動きがしなやかで、舞台の役者かダンサーか、と妙にクラシックの演奏会ではういていて気になったのだが、なんとその方が、作曲家の権代さんだった!多分、フツーに街を歩いていても、なんとなくゲイジュツカってわかるだろう。


ぶまたこれまで、男性だけの踊り場として認知されていた感のある後半のピアソラ。
女性だって、渋くかっこよくピアソラを演奏できるんだぞ、というちょっと喝采したい気分になった。もっとも、伴奏が還暦を迎えて円熟した荘村清志さんのギターのおかげもあるけれど。このデュオの益々の活躍を期待したい。


********2008年5月25日(日)14時 浜離宮朝日ホール **********
《小林美恵&荘村清志デュオ》 【舞曲】
〜ラ・フォリアからピアソラへ〜
 
コレルリ:ラ・フォリア
ファリャ:「はかない人生」〜スペイン舞曲
ラヴェル:ハバネラ
ブローウェル:舞踏礼賛
チャイコフスキー:感傷的なワルツ
武満 徹:「他人の顔」〜ワルツ
ブラームス:ハンガリー舞曲 5番
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
権代敦彦:Mae Nam Khong(初演):委嘱作品
      〜mother of water〜水之母
ピアソラ:言葉のないミロンガ
ピアソラ:タンゴの歴史  酒場1900/カフェ1930/ナイトクラブ1960/現代のコ ンサート


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2013.12.15 Sunday

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コメント

こんばんは。

ご無沙汰しております。
素敵なコンサートだったようで、何よりです。
ギターは音は大きくないけど、温かい響きがするので、アンサンブルにも非常に適した楽器だと思います。
昨年、漆原啓子さんと村治佳織さんのデュエットを聴きましたが、聴きながらとても幸せな気持ちになりました。
荘村さんも、近年10弦ギターから6弦ギターに戻し、また一味違った「味」が出てきたように思います。

ところで、ブローウェルの曲はいかがでした?
私事ですが、私が韓国でソロ曲として演奏したのもブローウェルだったのです。(曲は違いますが・・・)
この舞踏礼賛は独特のリズム感が楽しい曲で、私も大好きです。
2008/05/26 11:38 PM by romani
>romaniさまへ

ギターとヴァイオリンのデュエットはそれほど演奏される機会がないので、初夏の昼下がりにふさわしく、楽しんでまいりました。

>10弦ギターから6弦ギターに戻し

お恥ずかしい話ですが、その違いがわからない私が、「舞踏礼賛」の感想を述べてよいものかとどうかと思いますが、ギターを弾かれる方にはおなじみの作曲家なのでしょうか、幅広い表現の曲ですね。荘村さんの演奏は、一音一音のたちあがりが完成されていて、尚且つ曲想を知り尽くした、さすがに熟年の域を感じました。
また、ギターは良くも悪くもヴァイオリンほどの演奏者の個性がでない分、曲を充分に研究しておかないと難しい楽器という印象もしました。

ところで、romaniさまがギターもお好きなら、ギル・シャハムとイェラン・セルシェルが共演している「パガニーニ」というCDがあるのをご存知でしょうか。私のお気に入りのCDのベスト10に入ります。

          −「ロマニリョス」が言えない者より
2008/05/27 9:58 PM by 樹衣子

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