千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.05.10 Saturday

『ラフマニノフ ある愛の調べ』

らふ漫画の「のだめカンダビーレ」のおかげで?、ここのところ一気に知名度のあがったラフマニノフさま。
と言っても、みんなが聴きたいのはピアノ協奏曲第2番。ラフマニノフさまの本名がセルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ(Сергей Васильевич Рахманинов)で、その生涯はあまり知られていない。かく言う私も、ピアノの名手で手が大変大きかったこと以外(中村紘子さん情報)、その生涯は不覚にも存じ上げていなかった。
ごめんなさい、ラフマニノフさま!
ロマン派ピアノ協奏曲の金字塔とも言える第2番は、まさしくロシア的な重さと暗い華やかさを感じさせるのだが、ラフマニノフは1917年のロシア革命を逃れて、翌年アメリカ合衆国に亡命して以降、生涯故郷の大地を踏むことがなかった。


ろ1920年、ニューヨークのカーネギー・ホール。米国の裕福な紳士・淑女が正装してこの哀れなロシアから亡命してきた天才ピアニストにして作曲家のラフマニノフの演奏を、今か今かと待っている。舞台に登場したラフマニノフの表情は、憔悴してやつれているが、その素晴らしい演奏は米国人に熱狂的に歓迎された。その成功を何よりも喜んだのは、彼自身よりも、従妹の妻であるナターシャと演奏をバックアップしているスタンウェイ社のマネージャーだった。次々と依頼のくるコンサートをこなすため、ラフマニノフは列車に乗って、米国中を演奏旅行することになり、その成功がもたらした名誉と賞賛、それにも関わらず資産が増えるのに比例するように、彼は日々いらだちがつのっていくのだが。。。

らふまるで神からの使者のような音楽家が生み出した作品の美しさと深さに反発するかのような、ここまで暴露?しちゃっていいのか人間くさい彼自身の素顔を描くセオリーは、これまでもモーツァルトの生涯を描いた映画『アマデウス』やベートーベンの『永遠の恋人』『敬愛なるベートーベン』などの成功でお約束済み。本作品も、女性たちに性的にも翻弄されちゃっているキャラのラフマニノフが描かれている。ただし、妻の座をいとめたナターシャ(ビクトリア・トルガノヴァ)だけは、生々しいベッドシーンはなく聖母のように気高く賢明で献身的、という理想の女性像にしているのがポイント。実際の事実を脚色して「すべてを捧げた初恋、短くも美しい恋、支え続ける愛、ラフマニノフの人生を変えた3人の女たち」というフレーズで読むとおり、女性好みの女性のための作品と言えよう。確かに天才のインスピレーションに影響を与える女性、そして野球の落合監督や野村監督のように夫をコントロールしてお仕事をさせるデキタ女房は、天才の天賦の才能を活かすために必要な人材であるのは古今東西、共通である。映画に登場する3人の女性は、それぞれに魅力的で天才の作品に寄与しているのだが、演じているロシアの女優さん達はそれぞれに新鮮な印象がある。さらに、写真で観るとおり、ラフマニノフ役のエフゲニー・ツィガノフがよく似ていて演技力もある。(顔のタイプで言えば、同じく幼なじみと結婚しているメドベージェフ新大統領に近い。)花束を抱えて夢中になっている年上の恋人アンナの自宅を訪問する時のドアの開け方など、初めての恋に舞い上がる男の熱気と欲望、そして天才の集中力を感じさせてなかなか見応えがある。また、時代の変遷とともにナターシャの髪型や化粧、衣装がモダンに変化していく姿が、ロシアの初夏の美しい風景とともに楽しめるのも女性好み。
らふ幼い頃の両親の離婚と没落、作曲に集中したいラフマニノフとピアニストとしての表現者にこだわる恩師との確執、スタンウェイ社との共同がもたらした彼の人生に影響も与える音楽界の商業主義、ロシア革命によって祖国を捨てなければならなかった彼の想い。本作品では名曲を飾る短いフレーズに過ぎなかったこれらの事実を、別なかたちでフォルテすると全く異なる映画もできただろう。だから、あくまでもこの映画の主旋律は、ラフマニノフではなく、強いロシアの女性たちである。ラフマニノフさまの才能の扉を開花させる鍵を握っていたのは女だろうか。
嗚呼、、、「女」というコルセットをしていても、たかが女、されど女は強し!

監督:パーヴェル・ルンギン
2007年ロシア制作

JUGEMテーマ:映画

2013.12.15 Sunday

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12:07 | - | - | -

コメント

私も手が大きくてピアノの名手ってことしか知りませんでした。Walkmanでパガニーニ狂詩曲をよく聞いています。あの有名なカンタービレの番(多分18番)になると、一瞬時間が止まります。ラフマニノフは濃くて聞き応えがありますね。
2008/05/13 11:28 PM by iorinx
>iorinxさま

>手が大きくてピアノの名手

その手が大きかったことも、今では具体的な病名がついて説明されているようですよ。
『モーツァルトが求め続けた「脳内物質」』という本を読んだのですが、映画の中では神経衰弱になったり、亡命したりと実際波乱にとんだ人生だったようです。しかし、女性に翻弄されるラフマニノフという感じで多少ものたりなさが残りましたね。

>ラフマニノフは濃くて聞き応えがありますね

あの濃厚さはどこからくるのでしょうか。それでいて『ヴォカリーズ』などは、また雰囲気が全然違うと感じられます。作曲家の頭の中がどうなっているのか、全く不思議です。◎◎!
2008/05/14 11:04 PM by 樹衣子

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映画:ラフマニノフ ある愛の調べ 試写会
ラフマニノフ ある愛の調べ 試写会(スペースFS汐留) 「10年音符ひとつもかけてない」 やっぱりラフマニノフを聴きなおしたくなります。彼の生涯や作曲を元にしたストーリー。 チャイコフスキーやスタインウェイのピアノとの関係にへー。セルゲイ・ラフマニ
(駒吉の日記 2008/05/13 8:16 PM)
映画『ラフマニノフ ある愛の調べ』を観て
48.ラフマニノフ ある愛の調べ■原題:Lilacs■製作年・国:2007年、ロシア■上映時間:96分■字幕:太田直子■鑑賞日:5月10日、ル・シネマ(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:パーヴェル・ルンギン□脚本・製作:ミハエル・ドゥナエフ□
(KINTYRE’SDIARY 2008/07/27 6:06 PM)
『ラフマニノフ ある愛の調べ』
『アマデウス』や『敬愛なるベートーヴェン』などのように本来の人物像の真偽を別としてデフォルメが功を奏する形は或意味製作側の理想でもあります。
(映像と音は言葉にできないけれど 2008/08/18 8:15 AM)
ラフマニノフ ある愛の調べ
2007 ロシア 洋画 ドラマ 伝記 作品のイメージ:切ない、おしゃれ、ためになる 出演:エフゲニー・ツィガノフ、ヴィクトリア・トルストガノヴァ、ミリアム・セホン、アレクセイ・コルトネフ 作品全体の構成があまり練られておらず、シーンが時代を超えて飛び
(あず沙の映画レビュー・ノート 2009/07/07 3:58 PM)

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