千の天使がバスケットボールする

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2013.12.15 Sunday

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2008.04.30 Wednesday

『Sex in a Cold Climate』

昨秋、エルミタージュ美術館で鑑賞した膨大な絵の中でも印象に残ったのが、ティツィアーノ・ヴェチェリオによる「 Tiziano Vecellio 悔悛するマグダラのマリア(Maddalena penitente)」である。娼婦に身を落としながら後に悔悛したマリアを描いた「マグダラのマリア」像の中でもこの絵は、最も人々に親しまれている絵画だろう。
映画『マグダレンの祈りは、このマグダラのマリアにちなんで、19世紀より食べるために堕落した娼婦になった女性を更正させるための施設、マグダレン修道院にまつわるTVドキュメンタリー『Sex in a Cold Climate』を観て、衝撃を受けた英国人俳優のピーター・ミュランが映画化をした作品である。レンタルDVDで、実際に放映された番組も観ることができた。
まぐ番組では、かってマグダレン修道院に収容された4人の女性へのインタビューに、若かった頃の彼女たちや修道院の様子が写った写真の映像が流れた。
1番の罪は、未婚の母。2番目は噂。元々娼婦救済と更正施設として開設されたマグダレン修道院は、1940年代になると大半は未婚の母や、ふしだらと疑われた少女の収容所となっていった。避妊の知識もなく、避妊が認められない国で、心ならずも未婚の母になってしまった女性たちは、「一家の恥じさらし」と家族に捨てられ、福祉制度もないまま、まるで刑務所のような修道院に押し込められた。親戚の家を訪問した帰り道に、従兄弟から強姦されたにも拘らず「お前に必要なのは罰だ」と責められ、またある女性の場合は、長く美しい髪とひとめをひく容貌のためにふしだらと疑われてそれだけで14歳で連れて来られたのだ、。収容された少女の主な仕事は、「淫らな罪」を償い心をきれいにするという名目もかねた重労働の洗濯である。Aさんは、アイロンかけのために、入所わずか1ヶ月で腕に静脈瘤ができてしまった。運営者は修道女で、アイルランドの村社会では、カトリック教会の教えは単純で厳格。神父や修道女の存在は絶対であった。物や人に興味をもってはいけない。またここではプライバシーもなく、洗濯室で全裸にさせられ、修道女から肉体的なことを嘲笑された。
「申し訳ございません」「許してください」
恐くて、自分の言葉で意見を語るのは到底無理だった。「更正」という目的で施設に入れられた彼女たちを待っているのは、「指導」という名目の虐待だった。
そして「世間体を失って生きる価値のないおまえたちは、ここに一生いろ」
ただ、修道女たちから言われたとおりにするだけだった。

次々と紹介される修道院の少女たちは、同じ洋服、エプロンに身を包み洗濯をしている。隣接している孤児院には、自分たちのこどもも収容されているのだが、授乳の時期を過ぎると会うことは叶わない。掟を破ると、折檻が待っている。
またある女性は懺悔室で懺悔をしている途中に呼ばれて行くと、神父が下半身を露出していたなど、性的な虐待を度々受けた。

悲しいことに、無事脱走や理解ある親戚から救出された女性すらも、修道院で過ごした生活のために、外の社会への適応することが困難であることだ。
神父から性的虐待をずっと受け、性的な知識もないため、結婚してもSEXを罪悪視して受け入れる準備がなかなかできない。人に見られるたびに自信がない。また救出された後に小学校の教師になったある女性は、修道院でずっと束縛されてきたおかげで、二度と束縛されたくないために生涯を独身で過ごす決意をした。こどもを養子にとられた女性は、後に別の男性と結婚してこどもを産むのだが、修道女たちの”教育”のおかげですりこまれた観念によって施設にいたことを50年間家族に隠しつづけた。家族の理解と尽力により念願だった長男と再会できるまで、どれだけの歳月が去っていったことだろう。
10ヶ所あった施設の最後が閉鎖されたのが、1996年。今世紀だけで約3万人の女性が生活していたと推測される。
彼女達に共通するのが、教会に対する根強い憎しみである。教会には絶対に行かない。修道女は、修道服を着た悪魔。修道院で人間としての尊厳もプライドもすべてを失った。
そう語る老女の涙に、教会は今日に至るも沈黙している。


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