千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.04.14 Monday

ETV特集「神聖喜劇ふたたび〜作家・大西巨人の闘い〜」

大西大西巨人、健在也。
つい敬称を略称してしまったが、戦後文学の金字塔とまで評される「神聖喜劇」の作家であり、大正7年生まれ、現在91歳になる大西氏は脚腰は多少弱ってはいたが、今も深夜から夜明けにかけて毎日執筆活動を続けていた。昨夜のNHK教育テレビ「ETV」では、この流行作家とは無縁な老作家をとりあげていた。

原稿用紙4700枚、全5巻もあり、理論と理屈が延々と続く長編小説なのだが、誰もがあっさり”泣ける”読みやすいわかりやすい小説が人気を集める近頃の読書傾向にも関わらず、「神聖喜劇」が再び脚光をあびているという。しかも若者を中心に。でも、本当だろうか・・・。「神聖喜劇」は、本棚の隅っこでほこりを被っているが、我家にとっては子孫に受け継ぐべき本。今時の大学生からこの読んでいる時と聞いた時はとっても驚いたが、どうやら「神聖喜劇」は人気すらあるらしい。芸能人のようにハードなおしゃれが似合う作家の阿部和重さんも登場して、日本文学史上の最高傑作とたたえる。脚本家の荒井晴彦氏が脚本を完成させたそうなので、いずれ映画化もされるのだろうか。



大西2番組では、大西巨人氏の太平洋戦争中に対馬要塞に配属された70年前の軍隊時代の写真を交えて、この地をほぼ半世紀ぶりに訪問する大西氏の映像、岩田和博さんとのぞゑのぶひささんが描いた漫画、この小説に実際に魅せられたという西島秀俊さんのナレーションを交えて「神聖喜劇」が紹介されていく。冬木役、大前田軍曹役の俳優たちのセリフも重なり、戦時下の軍隊における緊迫感はテレビの映像からも充分に伝わってくる。
主人公の東堂太郎は、抜群の記憶力で上官の指導に反論して次々と論破していくのだが、大西氏と一緒に軍隊生活を送っていた人によると大西氏自身も記憶力が大変に優れていたという。往年の記憶力は、老いて尚殆ど衰えていないかのような印象を受けた。自宅を訪問された俳優の西島さんに、当時の軍隊の規律が書かれた小冊子をすぐに示した。また当然かもしれないが、大西氏自身の軍隊での体験が作品に相当色濃く反映されていることも、今回の番組で感じられた。
埼玉県さいたま市にあるご自宅に、長男の赤人氏が同じく作家となって独立し、また病から生後まもなく障碍者になった野人氏が44歳でなくなってからは、奥様と二人暮しである。ご自宅のすべての壁にあるかと思われる本棚は、すっきりと整理整頓されていて、まさに清貧の暮らしぶりが伺える。こんなに長い歳月をかけて延々と閉ざされた世界を緻密に書いたてきた作家を夫にもち、さらに病をもつふたりの男児を育てて、経済的なだけでなく一般人とはまた違うご苦労もさぞかしあっただろうと私なんぞはすぐ考えてしまうのだが、奥様の自然でおだやかな笑顔がとてもよい印象を受けた。こんな奥様だから、大西氏も執筆活動にうちこめたのでは、と女性としては思ってしまう。赤人氏の高校受験時の父の対応に対するインタビューにこたえる感想に、あかるい達観が感じられたのも、母親似の容貌のせいだろうか。
大西氏は、実に変わった作家である。率直に言ってしまえば、厄介な人物という印象もあり、その心に、私は近寄りがたいものすら感じている。
しかし、残した作品に、人々は不朽の価値があることを認めている。

■アーカイブ
漫画版「神聖喜劇」

2013.12.15 Sunday

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