千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.04.10 Thursday

クラシック音楽家の台所事情

今年も桜が咲き、新入生がキャンパスにやってくる季節だ。
「博士号は足の裏についた米粒みたいなものだ。取らないと気になるが、取っても食えるわけではない」
おそらく理系の大学院に進学して研究者になる夢をもって入学してくる学生は、先輩から白楽ロックビル先生の理系白書「博士号とる?とらない?徹底大検証!」をすすめられるだろう。せっかく優秀な頭脳と地道な努力をもって大学院で博士号をとっても国内では就職難民。親にとっては大変な不良債権である。
その債権はまさに音大並?!

研究するピアニスト青柳いづみこさんの近著「ボクたちクラシックつながり」(ピアニストが読む音楽マンガ)を読了したのだが、実におもしろかった。のだが、最終章の「ピアニストは本当に不良債権か?」という楽章で、クラシック音楽家の台所事情が紹介されていて、ある程度想像がついているとはいえ、なんともせつなくなってしまった。
昨年3月「週刊東洋経済」にのだめブームの影響だろうか「才能・努力だけで食えない クラシック音楽家事情」が掲載された。06年度の短大を含む音楽系の入学者は6016人。学費はご存知のとおり東京藝術大学音楽部では4年間で300万弱と一般の国立大学並だが、私立大学では1000万円。ご入学される前の個人レッスン代、交通費(場合によっては宿泊費)や楽器の購入費に関しては、みなさんご存知でしょうから省略しておく。続いて驚いたのが、「週刊東洋経済」の記事によると国際的に活躍するプロを育てた海外の音大や大学院の1年間の留学費は550万円程度!(よく聞く給費留学制度や奨学金もあるだろうが)・・・4年間で最低2200万円。勿論、留学経験なしで国際的なコンクールに優勝した音楽家もけっこういらっしゃる。さらにさすがに「週刊東洋経済」、日本のクラシック演奏家の収入ピラミッドも掲載されていたそうだ。

日本音楽コンクール優勝、もしくは海外の有名コンクールで上位入賞者(清良タイプ)のレヴェルで1ステージのギャラが税込みで50万円程度。(1回1000万円のギャラをもらうキーシンやブーニンは特別。)確かに20ステージこなせば年収1000万円を超えるかもしれないが、実際演奏で年収が1000万円超の人気演奏家は、たったの数十人。だから清良は帰国しても、しばらくはコンクール入賞者としてのシゴトはあるかもしれないが、そこからさらに美人という付加価値を維持しながら活動をとぎらせることなく続けなければいけないのだ。綺麗なドレスも必要経費。
300〜1000万円のN響以外のメジャーな交響楽団の団員、小さなオケの団員やフリーは300万円以下。ほとんどゼロの人が2万人・・・。何度も読み直したが、演奏による収入ではなく”年収”となっている。実際は、個人レッスンや音大の非常勤講師、スタジオなどのバイトでもっと収入があり、一般サラリーマンより収入の多い方、夫婦共働きで生活にゆとりのある方もたくさんいらっしゃると思うが、私もかねてから音楽家がどうやって食べていっているのか謎だった。

さらに自主公演でホール5〜700人程度のキャパでリサイタルをひらいた場合、ホール代、チラシ・パンフレットなどの諸経費が200万円程度で、1枚4000円のチケットをほぼ完売してなんとか収支がプラマイゼロ、つまり赤字覚悟が常識。CD制作は500枚が買取の条件で、印税は3%なので1万枚売れないとみあわない。ところがクラシックのCDが、1万枚売れたら事件になるくらいだから、当然大出血。そういえば、小説のモデルにもなった人気ヴァイオリニストの天満敦子さんもいい年してずっと父親の健康保険に入っていたと「わが心の歌」で書いていたな。「のだめカンタビーレ」の峰君が、自営の食堂で出前もちをしている図が音大の卒業生のごく普通の進路。本当に食えない職業なんだ。

そして最後に「週刊東洋経済」では、
クラシック音楽家は、(中略)経済性だけから見ると極めて”投資”効率の悪い職業といえるかもれないと結ばれている。
それはわかっている。あくまでも経済的な投資からすれば、回収不能な不良債権。しかし、ピアニストのアレクサンドル・タロー氏によると一日中夢の中にいることをゆるされるのも音楽家。やっぱり音楽好きには幸福な職業だと思ってしまう。
JUGEMテーマ:音楽



2013.12.15 Sunday

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コメント

こんにちは
音楽家がどうやって食っていくかは私も気になるところです。やはり、いかにいいスポンサーをつけるかじゃないでしょうか。
企業と契約するとか。
お金持ち用の仕事をするとか。

著名な音楽家/教授などになると個人レッスン代が異様に高く、(その代わりxxxに師事と書ける)結構よい暮らしができるようです。こういう付け届け系の収入は領収書なしと思われます。

それと、これは私見ですが、容姿の優れた女性音楽家は収入のある方(社会的成功者や良家)と結婚するケースが多いように思われます。それも、普段からのバックグランド生活がないと厳しいので、基本的にはお金持ちコミュニティーに組み込まれての活動というのが普通かと思います。個人でいくら才能があっても、個人の資質とか、うまい金の流れを掴む才覚は必要でしょうね。その辺は、どんな仕事も一緒ですね。音楽は一定の需要があるので、それほど悪くない商売という気がします。
2008/04/11 12:40 PM by iorinx
こばんは。何とも悩ましいテーマですね。有名な音大のピアノ科を卒業されても、個人レッスンではたかだかしれています。娘のピアノの先生は資産家でした。そのお母さんから聞いた話です。「毎日娘の背中にお札を貼り付けて(音大に)送り出しているような感じでした」その先生の娘さんは、県のジュニアコンクールで賞をとるなどの才能でしたがお母さん(先生)からこういわれたのでした。「うちの家計ではあなたを音大にやれない」娘さんは今学業とともにスポーツに打ち込んでいます。

中村紘子さんは、その著書のなかで「10代前に天才だといわれなければ、コンサートピアニストはあきらめること」といってましたし、たとえばジュリアード音楽院は教授が早い段階からピアニストになれるかどうかの見極めをするそうです。厳しいようですが、これも教育のひとつではないかと思います。但し、これは10歳前であっても音楽院に入学できるシステムがあるからで、別の道に進むのであっても十分な時間があります。18歳で音大に入学してからでは、コンサートピアニストを目指すのは遅いのです。

もっとも、音大のピアノ科を出られて、稼ぐことができなくても、家庭に入り、自身の子供の音楽教育に役立てることはいいことではないでしょうか。父であれ母であれ、音楽の素養をもつ両親に今でもあこがれを持っています。もちろん私の両親はまったく音楽には縁がありません。
2008/04/11 8:48 PM by calaf
>iorinx

ご無沙汰しております。
苦しい台所事情はわが国内のみならず、諸外国でも同様のようです。
レオン・フライシャーは若者の将来を心配していたら教えることができなくなると言ったそうです。
イザイ弾きの名手であるお気に入りのフランス人ヴァイオリニストも、最近ポップス系の軽い音楽にシフトしています。こんなポピュリズムは、さびしいですね。

>著名な音楽家/教授などになると個人レッスン代が

大学受験のためのレッスンレベルになると1万円〜3万円程度が相場のようです。演奏ではなく、教えることで生活が成り立つのでしょうね。オペラ歌手や指揮者などのほんの一握りのスーパー音楽家が、華やかな生活をおくるのと随分異なります。

>容姿の優れた女性音楽家は収入のある方(社会的成功者や良家)と結婚するケースが多いように

多いですね!
彼女達は、小さい頃からレッスンにあけくれる生活をおくるため世間の泥に染まっていないし、個人レッスンが中心だから礼儀正しく辛抱強く、身なりにも清潔感があります。しかも美しい音楽といつも向き合っているから、良縁にも恵まれるのでしょうか。私も男性だったら、音大出身の女房が欲しいですよ。

>うまい金の流れを掴む才覚は必要でしょうね

葉加瀬太郎さんや高嶋ちさとさんなんか、才覚ありそうです。
2008/04/11 10:46 PM by 樹衣子
>calafさまへ

楽器によって、多少事情も少し違うかな・・・とも考えます。
弦楽器や管楽器では、それもかなり厳しいそうですが、オケに入団するという手もありますね。ピアノは伴奏で稼ぐ方もいらっしゃるそうです。いずれにしろ、食べていくには困難であり、音大に進学するには一般サラリーマン家庭にはかなりの覚悟が必要のようです。

>10代前に天才だといわれなければ、コンサートピアニストはあきらめること

中村紘子さんレベルになられるには相当厳しい世界ではありますが、私はコンサートピアニストばかりが音楽家ではないと思うのですね。音楽教師をピアニストとも言えないかもしれませんが、華やかなピアニストでなくとも、地域でリサイタルを行ったり、アマオケと協奏曲を弾いたりと、音楽をシゴトとする喜びはあると思います。
青柳いづみこさんの著書はcalafさまの方が詳しいでしょうが、是非「ボクたちクラシックつながり」をお読みになることをお薦めしたいです。^^

>音楽の素養をもつ両親に今でもあこがれを持っています

お嬢さんのピアノの音が聴こえるcalaf家は、それだけで満ち足りていますね。
あっ、そうそう近いうちにメールをさしあげねば・・・。
2008/04/11 11:01 PM by 樹衣子

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