千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2008.04.09 Wednesday

「夜明けの街で」東野圭吾著

よ「不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた」

妻とひとり娘とともにマンションに住む1部上場企業の30代後半のビジネスマン、そんな渡部の告白による一人称で物語は幕を開ける。
”思っていた”という過去形が、自ずと勘のいい読者には結末が予測できるだろう。評論家の喜志哲雄氏によるとシェークスピアの「ロミオとジュリエット」は、冒頭のコーラスなる進行係りのよってあらかじめ結末を知り、読者は若い恋人の浮き沈みに痛切な共感を覚えながら、すでにわかっている宿命の登場人物に距離をおき、物語の無意味さを知的に眺めることを求められることになる。本書は、家庭もちの平凡なサラリーマンが資産家の和風美人の派遣社員と恋に落ちた・・・という男性にとっては「真夏の夜の夢」のような設定に、実は恋人の秋葉は父の恋人を殺害した殺人者かもしれないという、ミステリー作家としてあぶらののっている東野圭吾らしい謎解きをからめている。

相手が派遣社員の女性とは、、、なるほどな〜と思う。派遣社員は、派遣先にはプライベートな履歴まで知らされていない。つまり、同じ会社の社員よりもベールに包まれていて、しかも美人だったらなおのこと興味がそそられる部分もなきにしもあらず、また契約期間がきれたらご縁もそれっきり、たとえふられて玉砕しても後遺症は少ない。男性にとっては、正社員よりもねらいやすいカテゴリーかもしれない。しかし、主人公の渡部は決して浮気性ではない。
「一度きりなら浮気、継続したら不倫」
浮気症ではないから、なんの落ち度もない良妻賢母の妻にかくれて、というよりもだまして何度も逢瀬と重ねて秋葉との恋にのめりこんでいってしまう渡部。よくある不倫なのだが、水が流れるように自然に妻以外の女性に恋をしてしまい、悩みまどう男の生態がリアルに描かれているところが読みどころ、そのためかミステリーとしてのさえは鈍っているというのが惜しいかな。
ただ女性の立場として考えたら、夫の浮気に勘付いていながらコトを荒立てることによるリスクをさけ、淡々と波風たたせず生活してひとり娘の私立小学校の受験準備をすすめる妻、ひと昔前だったら良妻賢母のデキタ嫁だろうが、このタイプには私はあまり共感がわかない。こんな妻、はたして魅力的だろうか。林真理子さんによると最近の傾向として、既婚女性は夫以外の男性と関係をもたないそうだ。不倫なんて、今時流行らない、ということになるのだが、林さんの交流関係を考えると安定したゆとりのある生活ランクと思える専業主婦の妻たちは、不倫に伴うリスク(離婚)を考えると浮気や不倫はみあわないそうだ。本書の渡部も不倫に伴うリスクと損失から、冒頭の不倫する奴は馬鹿という発言になる。
しかし、行ってはいけない道とわかっていて足をふみいれて迷うのが人間だ。人が理性的に行動できないという前提で展開されるのが、行動経済学だ。それに、妻の座という既得権益は、確かに手離すには惜しいかもしれないが、他の女性に敵わない愛情を育てられなかった罪が妻側にも全くないとはいえないのではないか。そもそも、夫の不倫に耐えてゆるした妻に限って、定年退職後の老後は、慰謝料をとり年金分割で生活を維持できる金銭を確保して濡れ落ち葉を掃いて熟年離婚にもちこみそうだから、男性もご用心。
「ありがとう」その言葉を残した秋葉の少女のような無邪気な表情に涙がきらきら光る描写は、やっぱり男のせつない願望のあらわれである。こんなボルボを運転している都合のよい魅力的な女性はまずいないし、仮に遭遇したとしてもそうそう簡単に釣れるわけがない。もしラッキーにも親しくなれたら、素朴な男性は秋葉のようになんらかの意図がかくされているのかもしれないと疑った方がよい。

自分の長所をアピールするのが恋愛で、短所をさらけだのが結婚。結婚によって、多くのものを失うことに気がつかなかった。離婚歴のある著者のこんな言葉は、おおかたの男性の本音だろうか。先日亡くなった俳優のチャールトン・ヘストンの長い結婚生活の秘訣は、「努力」。

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2013.12.15 Sunday

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コメント

うーん、夫が他の女に夢中になっていることを知っているのに何事もないかのように振舞えるっていうのは、余程度量の大きく仏のような慈愛のある女性か、愛というよりも打算が結婚生活になってしまっているかでしょうね。
普段は結構ポーカーフェイスもいけると思っている私ですが、自分がこういう立場になったら絶対に冷静ではいられません。 修羅場ですよ、修羅場!!
毎日一緒に暮らして何年も経てば、ドキドキワクワクした恋心を保つことは出来ないけれど、結婚生活で初めて得られる愛情っていうのはありますからねー。
私だったら、生活の安定を壊すリスクよりも、この年月で育ててきた信頼に基づく愛情を壊すリスクのほうが圧倒的に怖いですね。 

この作家さんの小説は面白いことは面白いのですが、どうも登場する女性に「わかる、わかる!」ってタイプがいないんですよ・・・。
2008/04/12 9:58 PM by 有閑マダム
>有閑マダムさまへ

そう言えば、昔は「おめかけさん」なんていう言葉がありましたね。
政財界の大物、役者など、別宅があったもんです。
夫が他の女性に心を移していることに気がつきながらも、コトを荒立てない処世術というのは古い日本人的な発想でしょう。
主人公の親友がいうのですが、かえって大騒ぎして修羅場を迎えると、夫は逆に妻からもっと気持ちが離れることもあるそうです。

>修羅場ですよ、修羅場!!

人の心は変わるものだから、私は本気で他の女性を好きになってしまったらあっさり離婚してもよいと思っていたのですが、こどもの存在の有無で相当事情が違うでしょうね。金田正一さんという元プロ野球選手の方がいますが、最初の奥さん(女優さんだったそうです)はこどもがいなくて愛人にこどもができて、その赤ちゃんがあまりにも可愛くて離婚したそうです。この方は、仏ですね。

>結婚生活で初めて得られる愛情っていうのはありますからねー。

主人公の友人によると「赤い糸なんか最初からないっ」。死ぬまで夫婦で添い遂げて、初めて赤い糸で結ばれるそうです。恋は最初にありき、愛は育てるものですね〜。
東野圭吾さんは、登場人物の心理にたけているというよりも謎解きを中心にしたミステリー作家ですからね、女性の描き方はあまりうまくないですよ。
2008/04/13 12:01 AM by 樹衣子

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