千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.03.25 Tuesday

『パン・タデウシュ物語』

ぱん映画とはなにか。映画は、娯楽か芸術か。

それを説明するなら、この『パン・タデウシュ物語』を1本観ればよい。この映画には、映像だけでなく美術、脚本、衣装、舞台、俳優、そして音楽。映画の娯楽性と芸術性をかねそなえ、尚且つ映画の真髄が、そのすべてが154分にあますところなく凝縮されている。さすがに、アンジェイ・ワイダ監督。
原作はポーランドの詩人アダム・ミツイエヴィチによるポーランド・ロマン主義の最高傑作と伝えられている長編叙事詩『パン・タデウシュ』である。1823年、民族主義運動のために投獄され、その後ロシアに流刑された後、祖国を離れた国民的な詩人は、この美しい詩を亡命先のパリで書いた。
その栄誉ある舞台となったのは、1811年ナポレオンのモスクワ遠征も近い第三次分割でロシア支配下にあったリトアニアの農村。


ぱん平和な田園地帯の広がる村には、小貴族(シュラフタ)であるホレシュコ家のソプリツァ家の両家は、ソプリツァ家のヤツェクがホレシュコ卿を射殺した、20年前の事件から対立していた。そして、それをきっかけに行方不明となったヤツェクの息子タデウシュ(ミハウ・ジェブロフスキ)が、首都ヴィルスでの学業をおえて判事である叔父の館に帰館した。真面目でちょっとテニスの松岡修造氏のようにスポーツが得意で熱い、つまりどこから見ても好青年。そんな彼は、庭先で美しい少女ゾーシャ(実はホレシュコ卿の娘)を一目見て恋におちてしまった。然し、なんたることか、いまだ女性経験のない彼は、晩餐会で隣に座ったゾーシャ(アリツィア・バフレダ=ツルシ)の教育係りであるテリメーナを、あの時の少女だと勘違いをしてしまうのだったが。。。

ぱんゾーシャは、14歳の可憐な蕾みが今にも咲きほころぶかのような野の白百合のような少女。その一方、テリメーナは30歳をとっくに過ぎたタデウシュと変人の伯爵を両天秤にかける”百戦練磨”の熟女。今日、勤務先でスタッフの女性たちが、亀梨和也クンと小泉今日子さんの話題から20歳の年の差の恋バナをしていたが、まさにタデウシュとテリメーナは、この年の差カップルである。どう考えても、あわてんぼうのタデウシュの好きな女性を取違える勘違いはありか?と思うのだが、テリメーナは美乳で美貌を誇る中年女性、しかもこの女性は弁論家で頭がよい。(顔立ちが、デビ夫人に似ている・・・)このような古典的な人物像と設定が、物語にオペラのようなユーモラスさと素朴さを与えてくれる。タデウシュとゾーシャは、お互いに好意をもち、彼らの婚姻こそ、長らく対立の続いた両家のなによりの和解になる。
そして、もうひとつ大切な軸となるのが、若いふたりの恋とふたつの貴族を通して、背景に描かれているのが、祖国、戦争と和解、愛情と憎悪、生と死という普遍的な人間の感情である。不潔で騒々しいモノトーンの暗いパリの街のプロローグが、見事につながるエピローグ。この短いプロローグとエピローグが、物語に陰影としびれるような抒情を与えている。そして、回想にあたる故郷を描くシーンでは、重い雲がたれこむような天候はなく、すべて萌えるような緑がどこまでも続くのどかで美しい田園地帯。たとえ雨が降っても、空の晴れ間がのぞけるあかるさ。この風景のはっきりした明暗の描き方に、私はアンジェイ・ワイダ監督の祖国への思いを感じた。物語のあちらこちらに散らばるほのかなユーモラスさ。誰もが願う寓話の大団円の結末。



ぱん最新流行のウエディング・ドレスにしなさいというテリメーナのアドバイスを泣いて断り素朴なデザインにこだわった瑞々しい若い花嫁は、花婿の農地を農民に譲る素晴らしい提案に賛成した。
この映画はポーランドで公開されるや、熱狂的な国民の支持を受けて記録的な大成功を治めた。
ポーランド人の魂を象徴するかのようなポロネーズの音楽が、いつまでも余韻を残す。

監督:アンジェイ・ワイダ
原作:アダム・ミツイエヴィチ
制作:1999年ポーランド=フランス

JUGEMテーマ:映画



2013.12.15 Sunday

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