千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.02.23 Saturday

『サンキュー・スモーキング』

san雪、雪、雪。。。外は、気が狂いそうなくらいどこまでも続く真っ白な雪。
トラックの中で田中邦衛が演じる黒板五郎は、助手席に座っている息子の純に大事なことを伝えようとしていた。おもむろにとりだしたくしゃくしゃな煙草の箱からとりだした1本の煙草。
「純、いいか・・・」
重い言葉が落ちるとともに、軽い紫煙が密室の車内にひろがり充満していく。
あ〜あ〜〜あああああ〜〜♪
テレビドラマ史に残る名作「北に国から」をビデオで観た時に、喫煙シーンが多くて私はけっこう気になっていた、。いしだあゆみ演じるきれいな母さんも雪子おばさんも、みんなかっこよく煙草を吸っているのだったが、今だったらありえないシーンがけっこう多い。もしかしたら、JTがスポンサーだったのだろうか。そんなことを疑ってしまうのが、映画『サンキュー・スモーキング』。


ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は、「タバコアカデミー研究所」のスポークスマン。タバコ業界を憎み敵視する団体の攻撃を一身に集中砲火としてあびながら、清潔なスーツ姿と魅力的な笑顔を武器に世論に機転の利いた爽やかな弁舌で応酬する。彼は、実に有能なロビイストだったのだが。。。

主人公は議論と理論が得意なためにロビイストになったという設定のために、知的な会話を主体にしたコメディである。しかし、このギャグには笑える皮肉がいっぱい。観かたによっては、米国人による米国人のための自虐的な映画ともとらえることができる米国らしさの煙が充満している。


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米国においては、業界の利益のために政治家に諸々の働きをするロビー活動が盛んである。彼ら、ロビイストの存在ぬきでは、米国の政治は語れない。しかし、有力な政治家をゴルフに接待などだけでなく、共和党の大物ロビイストの汚職疑惑事件が発生したりと、その活動にはなにやらダーティな部分も匂う。そのため、昨年、ロビー活動を規制する政治倫理法案が可決された経緯もある。

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ニックは、窮余の一策として5000万ドルもの大金を投じて、ブラット・ピットなどのハリウッドの大物スターをつかって映画でタバコを吸わせることを提案する。また、アルコール業界、銃機器業界の友人のロビイストとともに、あのてこのての情報操作を考える。

A幣拇傾
かつてマルボロ・マンと呼ばれながら、KOOLを吸い続けて肺癌になりタバコ業界を訴えようとしていた元俳優。ファースト・フードを食べて肥満になっても訴える訴訟天国の米国は、消費者天国でもある。

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ブラピの映画出演料+キャサリン・ゼタ=ジョーンズの出演料⇒単純な足し算ではない。ふたりが共演することの相乗効果を考えて、割増になるという拝金主義への風刺が効いている。それにニックが働くのも住宅ローンのため、という本音も。

ナ雑な家庭
そのニックがローンを返済する住宅には、別れた元妻と息子、そして妻の恋人が暮らしている。当のニックといえば、アパート住まい。衣食住という言葉があるが、生きるために必要な家のために働くおとうさん、国の違いをこえてほろりとさせられる一方、そのニックを色仕掛けで取材する女性記者の汚い方法も住宅ローンのため、という拝金主義は、企業や国の金儲けにもつながっている。

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熱心な嫌煙活動家でありニックの天敵、フィニスター上院議員はタバコのパッケージにどくろマークをつけることを提案する。英語を理解できない多民族のために、視覚的にわかりやすくタバコの危険性を訴えるためだと言う。ガンにおかされた少年をテレビ出演させてタバコの害を訴える団体のやり方など、マイケル・ムーア監督の映画『華氏911』を彷彿させる。

私は、煙草を吸わないのでいつも禁煙席を希望する。しかし、この映画では、嫌煙家の敵であるニックを応援したくなる。息子の宿題の課題が、「アメリカの政府が最も優れている理由」だって。ニックでなくとも、本当に米国の政府が一番か疑えっ、と言うだろう、たとえ教師の反感をかっても。大事なことは、タバコを吸うのも吸わないのも選択の自由と、自由な選択のある社会である。女に弱く、口がうまく、でもにくめないニック役をアーロン・エッカートが好演している。

ところで、私のお気に入りのホールにJTが主催する「JTアートホール」がある。この虎ノ門にあるJT本社内のホールは音響もよく、採算度外視かと思える安いチケット代で良質の室内楽を提供している。JTというからには、きっと愛煙家の煙がかなり貢献しているのだろう。だから、私にとっては、愛煙家にはこう感謝したい。


Thank You for Smoking!!



原題:“Thank You for Smoking” 
監督:ジェイソン・ライトマン
2006年米国制作


JUGEMテーマ:映画



2013.12.15 Sunday

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23:31 | - | - | -

コメント

弊記事までTBとコメント有難うございました。

3年前になるので詳細については触れられませんが、なかなか興味深い作品でしたね。
僕自身は生まれてこの方煙草は吸ったことがないです。

また、御記事が面白くて、できれば鑑賞直後に拝読したかったなあ、と思います。いつもながらの名文、楽しませて戴きました。


ところで、母の死に関する僕の責任についてのお言葉、有難うございました。
あれだけの症状が出ながら、父親が入院・入所している総合病院に何十回も母を連れて行ったのに、何故循環器科へ寄ろうという発想がなかったのか、今となっては逆に不思議なくらいです。間抜けも良いところです。
しかし、それを苦にして僕が病気になるなどしたら、仰る通り母も悲しむでしょうから、無理しない程度に自然体で頑張るようにします。有難うございました。
2011/05/05 10:23 AM by オカピー
オカピーさまへ

おつらい時にも関わらず、コメントをありがとうございます。
早くにお父様を亡くした友人が、
「どんなに尽くして看護しても亡くなった時は絶対に悔いが残る。
そういうものだと覚悟しておいた方がよいからね」
と言ったのは、散々、親の話題を笑い話のネタにして盛り上がっていた女子会のときの事でした。
この言葉はこたえました。そして、そういうもんだと私は覚悟を決めました。

オカピーさまの映画談義をこれからも楽しみにしております。
2011/05/08 2:22 PM by 樹衣子

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サンキュー・スモーキング
 『その男、 話術で世間を 煙に巻く 彼は嘘をつかない。 ただ、真実に手を加えるだけ。』  コチラの「サンキュー・スモーキング」は、10/14公開になったタバコ業界だけにとどまらず現代社会の矛盾を痛烈に皮肉って、笑いに変えてしまっているコメディです。
(☆彡映画鑑賞日記☆彡 2008/02/24 7:40 AM)
『サンキュー・スモーキング』
----この映画、アメリカでの今年の1館当たりの興収記録を作ったんだって? タイトルからしてセンセーショナルだけど、どんな映画なの? 「主人公のニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は タバコ業界を代表する凄腕のPRマン。 高まる嫌煙運動に対して、 魅力的なス
(ラムの大通り 2008/04/22 11:02 PM)
『サンキュー・スモーキング』を観たぞ〜!
『サンキュー・スモーキング』を観ましたタバコ業界のPRマンとして巧みな話術と情報操作でタバコを擁護し続ける主人公の活躍を描いた社会派風刺コメディです>>『サンキュー・スモーキング』関連原題:THANKYOUFORSMOKINGジャンル:ドラマ/コメディ上映時間:93分製作
(おきらく楽天 映画生活 2008/06/11 11:30 PM)
映画評「サンキュー・スモーキング」
☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2005年アメリカ映画 監督ジェースン・ライトマン ネタバレあり
(プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] 2011/05/03 6:52 AM)

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