千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.02.05 Tuesday

「世界でいちばん美しい物語」

世界私たちは、この世に生を受け、そして地球の歴史の45億年から考えると一瞬のうちに消えていってしまう。そう、万物の生きるものは、必ず死を迎える。
それでは、何故、老化や死は生物にとって必要なのか。
どんな生物でも細胞は増殖しているのだが、細胞内に生物時計のような化学的振動体があって、各細胞の増殖回数を制限している。この回数に到達するとあらかじめくみこまれたメカニズムが働いて、細胞を一種の自殺に導いていく。死とは生の必然である。細胞分裂の回数が多くなれば、それだけ情報を複製する時のエラーも増えて蓄積され、ついには大量のエラーが原因で、その生物種は劣化して死滅していく。
つまり、生物学者の言わせると死とは「固体にとっては迷惑だが、種にとってはありがたい贈物」ということになる。
なるほどっ!!ゲームオーバーは、私という固体にとってはえらい迷惑な現象だが、ホモサピエンス、ヒト科にとっては恩寵を与えるのだった。

私たち人間は、宇宙全体の組織化の最新の成果のひとつにしか過ぎない。何故ならば、私たちの体を構成しているのは、かって宇宙をつくった原子だ。150億年前の宇宙のビッグバンを起源とした宇宙の物語、このとてつもなく壮大なドラマの現在進行形の物語の途上にあるのが私たちであり、私たちは進化の過程で消えていった生物の中で、ほんのつかのまの存在に過ぎない。この美しい物語の主人公は、私、そして私たちである。

本書では、これまで「宇宙」や「生命」と、個別にかつ専門的に語られてきた科学が、科学とは無縁ないちジャーナリストによる3人の科学者へのインタビュアー形式で、宇宙から生命、そして人類へと物語のようにすすんでいく。まずなんと言っても、構成が見事である。最初に宇宙の起源の話、あまりにも気の遠くなるような遠い遠い話から、生命、原子生物の誕生、自分が生まれてくるまでの、そして今生きていることの必然性の150億年間の流れが理解できる仕組みとなっている。なんの関係もないような銀河や星すら存在しなかった宇宙の起源時のカオスの状態が、自分自身につながっていることの素晴らしさ。そして最終的に人類はどこへ行くのか、という未来への課題。科学の知識が中心だが、その背景には個々人の哲学の領域にまで及ぶ。

たとえば、私自身はあいにく”信仰心”をもっていないのだが、科学の話題に宗教をさけては通れない。科学と宗教、どこでおりあいをつけていったらよいのか、というのがここ数年の疑問だったのだが、本書によってそれが氷解した。
そもそも科学と宗教は、その領分が違うのである。科学はものから学び、宗教は人を教え諭す。疑問をもつことが科学の原動力であり、信じることが宗教の絆。また科学が世界を理解しようとするの対し、宗教は生に意味を与えることを使命としてきたように、それぞれの問題へのアプローチもことなるのである。
科学と宗教が対立するものではないのだ。

また女性のインタビュアーの性格もあるのだろうか、自分の納得のいくまで質問をほりさげ、時には、解明できないことが多いと怠慢ではないかと科学者を非難するくだりもあり、率直な感想を述べているのがおもしろい。本書の成功の秘訣は、彼女の才気に負うところが多いと思う。

地球は、大変美しいかけがえのない惑星である。
しかし、今、人類、いや地球上の生物は、地球の限界に直面もしている。20世紀になって、核軍備拡大競争と環境破壊というふたつの自己を破壊する方法を生み出した。進化が淘汰する対象は、もしかしたら私たちかもしれない。
この美しい物語の次のページを書けるのかどうか、それは私たち次第である。
本書は図書館で借りて読んだのだが、文庫本もあるようなので、購入して会社の机に入れておこうとも考えている。

著者:ユベール・リーヴス ジョエル・ド・ロネー イヴ・コパンス ドミニク・シモネ



JUGEMテーマ:読書



2013.12.15 Sunday

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