千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2008.01.28 Monday

第13回チャイコフスキー国際コンクール 入賞者ガラ・コンサートジャパンツアー

なんと、世界にはクラシック音楽のコンクールは1000以上もあるそうだ。
しかし、そのなかでも華やかで音楽ファンの注目をあびる権威あるコンクールといえば、ショパンの名を冠したポーランドの「フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール」、ベルギーの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」、パリで開催されるヴァイオリニストのジャック・ティボーとピアニストのマルグリット・ロンによって創立された「ロン・ティボー国際コンクール」、そして「チャイコフスキー国際コンクール」。
そのなかでもチャイコフスキー国際コンクールは、扱う楽器がピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽と範囲もひろく、また旧ソ連時代に国家の威信をかけて開催されていたという点もあわせて、最も華やかなコンクールだろう。
昨年の第13回のコンクールで優勝、或いは最高位の栄冠に輝いた未来の音楽家のお披露目コンサート・ツアーが真冬の日本ではじまっている。
本コンサートの主旨は、やはりまずはご褒美!、そして舞台経験のチャンスが演奏家としての糧になることや、次のオファーへのきっかけ、プレゼンテーションみたいなものだと思う。

最初のチャロ部門のセルゲイ・アントノフ氏は、1983年、モスクワ生まれでモスクワ音楽院を卒業し、M.ロストロポーヴィチ財団のスカラシップを受けるという生粋のロシア人のチェリストである。あかるく軽やかな「ロココ風の主題による変奏曲」を弾く弓さばきは、新人とは思えない巧みなテクニック。すでに国際的なコンクールでの優勝経験もあり、最後のフィニッシュのつもりのチャイコフスキー国際コンクールの参加なのだろうか、音程も明晰で歌いまわしにも余裕すら感じられる。完成度が高いだけに、強烈な個性がないとも言えなくもないが、意外と今後の路線が予測つかないチェリストでもある。

次に登場したのが、神尾真由子さん!おそらく会場の殆どの方は彼女の演奏を最も楽しみにしていたことであろう。長い茶髪が色白の肌に映え、堂々とした体格が遠目には日本人離れして見える。またシャンパン・ゴールドのドレスが、年齢以上に彼女をおとなびた雰囲気を演出している。最初の一音から、渾身の集中力で弾き、尚且つ自分の弾きたい音づくりのこだわりが随所に感じられる。優等生的な誰もが納得する弾き方の多い日本人の演奏家の中で、個性的というよりもがんこなまでの自己主張が演奏に貫かれている。年齢のわりには土着的でべたな演奏に彼女が大阪出身であることを思い出し、コンクールを勝ち抜いた”浪花節”は会場をも制覇したといっても過言ではないだろう。
ところで、最近の神尾さんの髪の色や渋谷系のメイクを見ていると、私にははっきり性格の方だと見受けられる。あのタイプの容姿の女性は、新宿や渋谷の繁華街にはそれこそはいて捨てるほどいるのだが、クラシック業界の水にはあわないだろう。素朴な日本の少女からどんどん濃くなるメイクに比例してプロとしての実力と経験をものにしていく彼女は、「蛇にピアス」で芥川賞を受賞して文壇に踊り出た金原ひとみさんを彷彿させる。実力、おしだし、たくましさ、将来の大物候補の筆頭株である。

声楽部門のアレクサンドル・ツィムバリュク氏は、バス部門でありながら、スマートで長身の繊細なタイプのなかなかイケ面。真摯な音楽つくりが好印象。
またオレシャ・ペトロヴァさんは、ロシア出身の25歳。まだ声楽家としては若く素朴な感じなのだが、声に凛とした気品があるではないか。現在、サンクトペテルブルク・コンセルヴァトーリ(国立音楽院劇場)のソリストも務めている。

最後は、ピアノ協奏曲でしめるというプログラム構成は、この鍵盤楽器の華やかさとチャイコフスキーによる曲のロシアの大地のような豊饒さを示している。ピアニストのミロスラフ・クルティシェフ氏は、唯一10代半ばかと錯覚してしまうような雰囲気があるが、すでに成人しているし、しかもユーリ・テミルカーノフ、ウラディーミル・アシュケナージ、ワレリー・ゲルギエフ、ユーリ・バシュメットといった世界的な指揮者との共演経験もあるそうだ。華奢な体躯にも関わらず、重く暗い音から、軽やかな初夏の光を思わせる第二楽章の展開、アンコール曲もふくめて、その深い音楽つくりには、ロシアの音楽教育の伝統と健在ぶりが感じられる。
全体を通しての印象だが、チャイコフスキー国際コンクールの優勝者は、いずれもすでに大きなコンクールでの優勝経験をもち、プロの演奏家としてキャリアをすでにスタートしている人ばかりである。以前のように、知名度があまりない大型新人が彗星のように出現するような新鮮味はなくなってきているのではないだろうか。ある意味では、出来レースに近い。国家の威信をかけ、東西冷戦下の第一回のコンクールで米国人のピアニストが優勝した時は、歴史に残る事件にもなっていたのだが、日本のトヨタが開催費用(約7億8千万円)のうち3分の1を負担していることもあわせて、チャイコフスキー国際コンクールも曲がり角にきているのではないだろうか。

−−−−−−−08/1/28 サントリーホール −−−−−−−−−−−−−
■出演者
神尾真由子(ヴァイオリン部門1位)、セルゲイ・アントノフ(チェロ部門1位)、
アレクサンドル・ツィムバリュク(声楽男声部門1位)、オレシャ・ペトロヴァ(声楽女声部門2位)、
ミロスラフ・クルティシェフ(ピアノ部門1位なし2位)

指揮:ユーリ・トカチェンコ
オーケストラ:チャイコフスキー記念財団 ロシア交響楽団

■曲目
チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 イ変調 作品33
Tchaikovsky Variations for Cello and Orchestra on a Rococo theme Op.33
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
Tchaikovsky Concerto for Violin and Orchestra in D major, Op35
ヴェルディー/ 歌劇『エルナーニ』よりドン・シルヴァのアリア「私は不幸な男だ」
Verdi Opera”Ernani” Aria of Don Silva “Infelice..!E tuo credevi”
チャイコフスキー/歌劇『マゼッパ』より「これが密告に対する褒美だ」
Tchaikovsky Opera”Mazeppa”Arioso of Kochubey”Tak vot nagrada za donos”
チャイコフスキー/歌劇『オルレアンの少女』よりジャンヌのアリア「森よさようなら」
Tchaikovsky Opera”Maid of Orlean” Aria of Joan “Da Chas Nastal”
チレア/歌劇『アドリアーナ・ルクヴルール』よりブイヨン公妃のアリア「苦い喜び、甘い苦しみ」
Ciela Opera”Adriana Lecouvreur” Aria of La princesse de Bouillon  “Acreba volutta, dolce tortua”
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
Tchaikovsky Concerto for Piano and Orchestra No.1 in B flat minor, Op.23
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