千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  
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2013.12.15 Sunday

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2007.11.25 Sunday

「ロシアのロマンティシズム」サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニー

さんロシア旅行から帰国してはや1ヶ月。もう師走だーーーっ。サンクト・ペテルブルグは氷点下。
「石の花」を愛読していた私にとって、これからが最もロシアらしいロマンチシズムにひたれる季節かもれない。
10月20日、サンクト・ペテルブルグで一足はやい「ロシアのロマンティシズム」の演奏会に行ったことを思い出す。

会場は、「サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニー」。芸術広場に面して、ロストロポーヴィッチが金婚式を祝った「グランドホテル・ヨーロッパ」と道をはさんで向かい合っている。最近のロシアは、しょっちゅう地名が変わるのだが、別名「ショスタコーヴィッチ記念ホール」とも言う。もしかしたら、ロストロポーヴィッチが亡くなる前、力をそそいだというのがこの記念ホールの改築のことではないかと思っている。
演奏会の二日前にホールのチケット売場で、運良くチケットを購入できた。悪名高い外国人価格で、本来400ルーブル(約2000円ほど)の席が1750ルーブルと提示されるが、N響の定演のS席ぐらいの価格だと割りきり入手した。外国人価格というシステムには納得いかないが、NHKホールよりもずっと良い。



ほーるホームページから転載した画像のとおり、改築したばかりの白を基調とした清潔で美しいホールである。豪華なシャンデリアに思わずため息がもれる。天井に近い窓からは、空を眺められるような構図となっているのがロシア風だろうか。
この建物は、1839年イタリア人の建築家ロッシによって貴族クラブのために建てられたのだが、今では、優れた音響で世界に誇れるホールとして知られている。チャイコフスキーが最後に交響曲第6番『悲愴』の初演を指揮したことでも有名だが、ロシア人にとっては1942年8月9日、ナチス・ドイツ軍によって包囲されたレニングラードで、ショスタコーヴィチの交響曲第7番」(レニングラード交響曲)が初演されたホールとしても記念碑的な意味あいをもつ。

ホワイエには、飲物と軽食が用意されて、ようやくコンサート・ホールに来た時のうきたつ気分がわいてくる。
最も広いホワイエには、歴代の作曲家の白黒写真が飾られている。バッハ、ベートーベンも写真に見えるようなポスターが同じように並んでいて、チャイコフスキーらと仲間入りしている。別の小さい方のホワイエに行く途中の部屋には、ショスタコービッチの銅像がさりげなくたっている。ここでは、彼は特別扱いだ。そしてもうひとつのホワイエには、このコンサート・ホールの常任指揮者たちの写真が並んでいる。一番最後に、当日の指揮者であるYuri TEMIRKANOVが微笑んでいる。彼は、サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニーの首席指揮者であり、芸術監督でもある。

席は後方の中央部分で、傾斜が少ないので実際よりも舞台が遠くに感じられるのだが、まずまず良い席である。客席数は2000に満たないだろう。両脇にギリシャ建築のパルテノン神殿を連想させられる白く太い柱が何本もたっている。この付近にも観客がいて、彼らは身をのりだして聴く姿勢になる。柱が気にならなければ、日本人の感覚としては、おそらくかなり安いチケット代金だろう。プログラム代金は、5ルーブル。ロシア語版しかない。客層は、18日のマリンスキー劇場のオペラとは全然違う。ここは、ウィーンだと思えと言われても違和感がないだる。プログラムのためか、いかにもバレエリーナ、ダンサーの卵と思える10代半ばの人もいれば、スーツを来た老人夫婦もいる。日本人は、私たちだけである。さすがに、マリインスキー劇場の時のようなジーパン姿は見かけない。女性もそれなりに、きらびやかな服装をこころがけているし、男性もスーツ姿が多い。
h−ル会場は、ほぼ満員。所謂天井桟敷の人たちの姿も見えることから、今夜のプログラムの人気の高さがうかがえる。ガイドのガリーナが言うには、ポスターの扱いからして違うとのこと。そう言えば、ポスターの雰囲気は、日本のチラシに比べて遜色がない。チケットがとれたことは、幸運だった。
ロシア人指揮者といえば、ワレリー・ゲルギエフが世界に冠たる指揮者として今や飛ぶ鳥落とすくらいの勢いだが、来年70歳になられるユーリ・テミルカーノフも日本ではおなじみの方であり、激動の旧ソ連からロシアまで生き延びた人物でもある。ステージは画像ではわかりにくいかもしれないが、横に長くて奥行きがあまりない。なんとなく「波乗りジョニー」というお豆腐を思い出してしまった。


しきさて、オール・プロコフィエフという日本ではなかなかお目にかかれないプログラム。いよいよ演奏がはじまると、客席の集中度がオペラの時とは全然違う。誰もが集中し、演奏に耳をこらしている様子を見ると、音楽を楽しむだけではなく、ここサンクト・ペテルブルグでのこのホールでの成功がオーケストラや指揮者、ソリストの評判を決定する雰囲気が感じられる。
「ロミオとジュリエット」は、洗練さがいまひとつのような印象。バレエ組曲なので、踊りにふさわしいキレと空気の軽さ、もう少しドラマチックな要素があってもよいかも、とも思った。
交響曲第5番は、やはりよく練られている演奏だと感心する。彼らにとっては、「北の国から」に近いのかもしれない。演奏のツボをよくこころえて、手をぬくところと気合を入れているところをちゃんと弾きわけているような・・・。さすが、ロシア人。ロマンチシズムも彼らの手によると、日本人の真面目さと異なる趣である。ロシアの真髄を堪能とまでは到達できなかったが、ユーリ・テミルカーノフの指揮も明瞭で、コンサート・マスターの独奏も充分魅力的だった。指揮者が、サンクト・ペテルブルグ市民に愛されていることが伝わってくる。外国の(ここではあえてまとまりのない”外国の”という表現をするが)ホールの演奏は、何故かいつもより観客に親密な音をかもしだすように感じられてならない。不思議だ。。。そう言えば、ペロストロイカ後、バレエリーナは衣装を買い、音楽家は楽器を買ったというエピソードを聞いたばかりだったことを思い出す。
寒い時に、なにも寒い国に行くことはないだろう、と思うのだが、寒くなってからがコンサート・シーズンだからしかたがない。華やかな雰囲気で、ロシアでロシア人の作曲による曲目の演奏会を忘れることはないだろう。



−−−−−−October 20, Saturday 19.00 ST.PETERSBURG PHILHARMONIC −−−−−− 

1st concert of the Season Ticket No.6
«Passion to Romanticism»
ST.PETERSBURG PHILHARMONIC ORCHESTRA
Conductor - Yuri TEMIRKANOV
PROKOFIEV
«Romeo and Juliet», suite No.2 from the ballet
Symphony No.5



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2013.12.15 Sunday

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